秋刀魚のワタ

サンマ召し上がりましたか。真夏から出ていましたものね。
「秋刀魚」じゃなくて「夏刀魚」ですね。

築地の魚河岸に並んだのが今年は7月の11日、
その日は「世界人口デー」。

1987年のこの日に地球の人口ガ50億人を超えたことから。
1999年には60億を超えました。2050年には90億を超えると
予測されています。サンマの話とは関係なかったね。

 今年はサンマ豊漁のようで、9月にはいって一時 
禁漁にさえなってしまいました。値の下がりすぎを抑えるため。

 この時期ますます脂がのってきて、安くてうまい
秋刀魚の塩焼き。当店でいかがですか。 
たっぷりの大根おろしにスダチを添えて。
 
 でもね、塩焼きでもハラワタを召し上がらない方が
多いんです。うまいんですがねえ。

 サンマのハラワタには鱗(ウロコ)がはいっていることが
多いので舌に当たるのが嫌だという方もいらっしゃいます。

 ーサンマにウロコあったの~。ーー 
なんて仰る 坊ちゃん嬢ちゃんいますね。アレ、 あなた様も。

 無理もございません。魚屋さんで売っているサンマのウロコは
ほとんど取れていますもの。これはね「棒受け網漁」という
漁法で獲るからなのです。

 サンマは走光性が強い魚です。夜間に集魚灯を灯して
海面下から網を一挙に持ち上げて獲る、この漁法は
効率のよいものでして、漁獲量の95%はこれによるものだそうです。

 効率はよいのですが、大量のサンマが擦れあうのですから
ウロコは剥がれます。そしてそれを飲んでしまうわけです。

 
 近頃は、サンマの塩焼き より 刺身や 〆サンマのほうが
受けがいいようですな。マリネーにしてもイケますし。

 これらは3枚におろすわけですから、ハラワタを使わない。
それがいいのでしょうか。

 ですが、今日は、サンマのハラワタを食していただきたい。
ひとつは焼きで、もうひとつは 煮で。

 昔からある調理法ですが、塩焼きではハラワタを
召し上がらない方も、おかわりを所望なさるほどの美味しさ。


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今日の品書き(目次)

【1】秋刀魚共肝焼き
【2】秋刀魚有馬煮

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【1】秋刀魚共肝焼き

 和食の料理用語で「共(とも)」がつきますと、ひとつの
食材の異なる部分をいっしょに調理したものです。

 たとえば
 「共和え(ともあえ)」。カワハギやアンコウなどでおなじみ。
魚介類の身を具として、和え衣はその肝を使います。

 「共あん」は鶏肉の料理などよくあります。鶏ひき肉で作った
そぼろあん を蒸した鶏肉にかけるものですね。

 アワビやアンコウは肝をすり流して椀種(わんだね)にする
「共汁」や肝を酢の物に用いた「共酢和え」なんてのもあります。

 時には、「共」を「友」という字をあてたりします。
とも かく、肝がおいしい魚介はそれを使わない手はありません。

 では、さんまの共肝焼き。

1.サンマを3枚におろす。(時間あれば薄塩をあて、1時間置く。)

2.内臓を包丁で細かく叩く。

3.酒、ミリン、醤油を同割あわせた中に、叩いた内蔵をいれ、
3枚におろした サンマを漬け込む。30分くらい。お急ぎの方は
10分でも。

4.漬けたサンマに串を打ち、漬け込んだ汁をかけながら
両面焼く。
 焦げやすいから、目を離さずに。

 ◎おもてなしには、「利休焼き」になさったら
いかがでしょうか。和食で、「利休」あるいは「利久」と
ついたら、胡麻を使った料理です。

「利休揚げ」、「利休煮」、「利休焼き」、「利休仕立て」など
すべて胡麻を使ったもの。千利休が胡麻を好んで使ったから、
といわれています。

「利久」というのは「休」の字を嫌って、あるいは
しゃれたおつもりでつけたんでしょう。

 で、サンマの利休焼き。

さっきの1.~3.までは同じ。漬け込んだサンマは煎った
白ゴマをまぶして表面が乾くまで干す。それから串を打って焼く。
白ゴマを焦がしては
いけませんよ。あぶる程度に。

 上級者は 焼くときに両づま折りにしたり、片身ずつ結んで
みたりして盛り栄えを考えてください。
 
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【2】秋刀魚有馬煮

 「有馬煮」というのは「山椒煮」のことです。
料理で「有馬」とつけば山椒(さんしょう)の実をつかったもの
です。

 兵庫県の有馬温泉の「有馬」。山椒の実の産地で有名ですから。
山椒煮でよいところを有馬煮などと名付けるなんぞ 
ちょっと気取っているのでは ありま せぬか。

 で、作り方。

1.サンマの頭とシッポを切り落とす。2cm~2.5cm位の筒切り。
内臓を つけたままです。

2.それをザルに入れて、塩を振り20分置く。

3.それに熱湯をかけて冷水にとり、ザルに再びあげる。
 軽く拭いてください。

4.鍋に上記のサンマを入れ、たっぷりの水と酒(同量)を
入れる。
 落し蓋をして強火。

5.沸騰したら砂糖をいれ、さらに醤油を加えながら
煮詰めていく。
 煮詰まってきたらミリンを加えてツヤを出す。
あればたまり醤油も少し。

6.さらに煮汁をかけながら煮詰めて、山椒の実をいれたら
 ひと煮立ち。山椒の実は最後。煮過ぎるとニガイので。


 以上が教科書的な作り方。修行中の方は一度はきちんと
作ることをおススメします。山椒の実は市販の瓶詰めで
いいでしょう。前にもお話しましたが私のところでは毎年、
山椒煮を一年分つくり置きしております。

 私は時間がないので簡単にいきます。年寄りですから、
残り時間が少ないですし、夜9時半になったら、●の時間ですし。

 サンマは薄塩をして両面とも焼きます。
 冷めてから筒切りにします。
 煮汁をあわせて煮付けます。最後にミリン、タマリ醤油、
実山椒を入れ味を調えておわり。

 圧力鍋を使えばもっと早く出来ますね。骨も柔らかく 
いっしょに召し上がってください。

 冷めてもうまいから、あたしの店では 
お通しに使ったりしています。

 

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