桜の文学作品

櫻のものがたり

明治以降の近代小説・現代小説から、 桜に因む物語をご紹介いたします。

このサイトは作成途中です。


取り上げる作品は以下のとおりです。

出典:
http://www.tate-mono.com/cat0005/1000000121.html#3
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■小泉八雲(こいずみ やくも=ラフカデェオ・ハーン・1850年 - 1904年)
怪談』には 「うば桜」の話が収められている。
松山市大宝寺に伝わる身代わり説話によるもの。大宝寺のうば桜はエドヒガン。


■ 樋口一葉(ひぐち いちよう1872年 - 1896年)『闇桜』
一葉の処女作。
儚い少女の命と散りゆく桜が重ねあう幼なじみの淡い恋。
http://www.aozora.gr.jp/cards/000064/files/4527_27840.html

■谷崎 潤一郎(たにざき じゅんいちろう1886年 - 1965年)
『細雪』のなかで
「京洛の春を代表するもの」とした平安神宮の桜はヤエベニシダレザクラ。

■芥川龍之介(あくたがわ りゅうのすけ、1892年- 1927年)
『或阿呆の一生』では
向島の桜を評して
「花を盛った桜は彼の目には一列の襤褸(ぼろ)のやうに憂鬱だった」と。


■宇野千代(うの ちよ、1897年1 - 1996年)
『薄墨の桜』
美事な花を拡げる樹齢1200年の名木、岐阜県根尾谷の薄墨桜に想を得た創作。
波瀾の人生を歩んだ女の悲恋物語。

宇野は昭和42年、小林秀雄の紹介で根尾村の「薄墨の桜」を見に行き、物語をしたため、その保護を訴えて活動したことも知られている。

■石川淳(いしかわ じゅん、1899年- 1987年)
『修羅』
応仁の乱を背景とする歴史小説。桜は美と狂気のシンボルであり、女主人公に重なるイメージでもある。

■梶井基次郎(かじい もとじろう1901年- 1932年)
『桜の樹の下には』

「桜の木の下には屍体が埋まっている!」で始まる有名な作品。
http://www.aozora.gr.jp/cards/000074/files/427_19793.html

■坂口安吾(さかぐち あんご、1906年- 1955年)
『桜の森の満開の下』
桜の木の下には魔性が桜鬼が棲む、桜の森の満開の下の秘密は誰にも今も分りません。
http://www.aozora.gr.jp/cards/001095/files/42618_21410.html

■大岡昇平(おおおか しょうへい、1909年 - 1988年)
『花影』
「もし葉子が徒花なら、花そのものでないまでも、花影を踏めば満足だと、松崎はその空虚な坂道をながめながら考えた」
葉子が桜に埋もれて死んでいく幻想の物語。

■中村真一郎(なかむら しんいちろう、1918年 - 1997年)
『美神との戯れ』の帯には「わがポルノグラフィー」とある。1989年発表の作品。
老いた画家であり陶芸家の私は桜に美しい女性の裸身の幻影を想う。
中村には『雲のゆき来』という」樹齢600年近い臥竜桜を描いた物語が先にある。

■水上勉(みずかみ つとむ1919年- 2004年)
『櫻守』万葉の歌人が詠んだ桜は
ヤマザクラである。ヤマザクラの美しさに魅入られた植木職人弥吉の物語。昭和43年の新聞連載小説。
登場人物竹部のモデルは<b>『桜男行状』</b>著者、桜研究の笹部 新太郎。
水上勉には<b>『醍醐の桜』</b>という私小説もある。

■五味康祐(ごみ やすすけ、通称こうすけ・1921年 - 1980年)
桜の枝を居合いの技で斬り落とすことにより勝敗を決する『桜を斬る』は、3代将軍徳川家光の寛永御前試合なる講談本から想を得た短編。

同じく五味の『薄桜記』は谷中七面宮の満開の桜の下での決闘、丹下典膳と堀部安兵衛が登場する忠臣蔵外伝。

■三島由紀夫(みしま ゆきお1925年- 1970年)
『近代能楽集』には
『熊野(ゆや)』という一編があり、桜を「哀れなものだ。哀れな貧しい花だ」と
言わしめている。三島は桜を通俗な花とみているのだろうか。

■皆川博子(みながわ ひろこ、1929年 - )
の第95回直木賞受賞作『恋紅』は、
染井吉野の誕生秘話もまつわる、無名の役者に縋りついていく女の情念の物語。

■渡辺淳一(わたなべ じゅんいち、1933年 - 2014年4月30日)
『桜の樹の下で
母と娘が同じ男を愛してしまった悲劇は桜の魔性によるものなのか。
同著者『うたかた』には
「染井吉野は一生懸命咲きすぎて、見ていて苦しくなるが、山桜は心が和む」とある。

■宮本輝(1947年-)
『夜桜』
芥川賞(『螢川』)受賞後の第一作。「下宿人お世話します」綾子の家の満開の桜を見下ろすその部屋に、今晩だけ寝てみたいという青年。
「彼女はいまなら、どんな女にもなれそうな気がした。どんな女にもなれる術を、きょうが最後の花の中に一瞬透かし見るのだが、そのおぼろな気配は、夜桜から目をそらすと、たちまち跡形もなく消えてしまうのだった。」(新潮文庫)『幻の光』に所載

■村上春樹(むらかみ はるき、1949年 - )
『ノルウェイの森』
'60年代学園闘争下の青春。京都北部の療養所に入所した直子を見舞う僕。
「春の闇の中の桜の花は、まるで皮膚を裂いてはじけ出てきた爛れた肉のように僕には見えた。庭はそんな多くの肉の甘く重い腐臭に充ちていた。そして僕は直子の肉体を思った  」
春の闇の中の桜の花は、染井吉野でしょうか。

■■追加■■

■辻井喬(つじい たかし 1927年〜2013年11月25日)
『西行桜』
能楽から題材を得た4編からなる、現代を描く短編集。『西行桜』は巻末を飾る一遍。ヒロインのチェンバロ奏者・紀美子は、滅び行く旧華族。舞台は東京、アムステルダム、京都、吉野へと。吉野山を臨む別荘の庭での演奏会。そこには「西行桜」と冠された大きな枝垂桜が。チェンバロの奏でと桜の花はともに吉野の空に舞う。